宇山賢選手スペシャルインタビュー(令和3年12月実施)

ページ番号1010455  更新日: 2025年10月30日

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宇山 賢 氏(Uyama Satoru)

任期:2022年3月28日~

写真:宇山賢選手
写真:ⓒ日本フェンシング協会:Augusto Bizzi/FIE

2021年:北区区民文化奨励賞受賞

2022年:北区スポーツ大使就任

 

競技

フェンシング
種目
エペ
北区との関係性
香川県高松市出身
北区在住
生年月日
1991年12月10日

主な経歴

2018年

ジャカルタアジア競技大会
フェンシング男子エペ団体 金メダル

2019年

 

アルゼンチンワールドカップ
フェンシング男子エペ団体 優勝

2019年

アジア選手権大会

フェンシング男子エペ個人 準優勝

フェンシング男子エペ団体 3位

2021年

東京2020オリンピック

フェンシング男子エペ団体 金メダル

フェンシング男子エペ団体日本代表 宇山賢選手にお越しいただきました(大会報告)

東京2020オリンピック競技大会のフェンシング男子エペ団体に出場し金メダルを獲得した区内在住の宇山賢(うやま さとる)選手から北区長にオリンピック出場の報告をしていただきました。

写真:宇山賢様1

写真:宇山賢様2


宇山選手へのインタビューも実施しました!
※質問内容は東京2020大会プロジェクトチーム(愛称:#ときおぱ)のメンバーが考えました。

写真:宇山賢様3

東京2020オリンピックについて

Q オリンピック決勝のROC(ロシアオリンピック委員会)との試合はすごかったですね。
A
 テレビで中継していただいたことで認知度も上がり、すごく注目していただきました。

Q 決勝戦はどのような気持ちで臨みましたか。
A
 フェンシングはトーナメント戦で勝っていくと残る対戦相手が減っていくので、試合の間隔があいていきます。準決勝から決勝までの間が3時間ぐらい空いて、十分に準備をすることができました。その時にはメダル獲得が確定しているので、SNSや電話などのメッセージがたくさん来ていました(笑)それを見ながら、オリンピックでメダルの獲得が確定した現実を受け入れられませんでした。決勝戦では、チャレンジャーの気持ちで臨もうということをチームメイトと話しました。細かいことを決めきるのではなくて、今まで自分がやってきたことを悔いなく出し切って、メダルの色を意識することなくリラックスしたムードで迎えることができました。対戦相手のROCは、日本の方が対戦成績もよく、相手のエースが日本人を得意としているので、他の選手で点数を取っていこうとみんなが分かっていました。相手にとって嫌な作戦が見事に当たりました。最後に日本のエース加納虹輝(かのう こうき)選手と相手のエースが対戦して、正直な話どうなるか分からない状況でしたが、守りに入らずに攻めたことで勝てると思いました。

Q 東京オリンピックに出場していた中で印象に残っている場面はありますか。アメリカ、フランス、韓国、ROCとの対戦など。
A
 最初に対戦したアメリカは分が悪かったのかなと思います。ランキングは、あまり変わらないのですが、チーム全体を盛り上げることがうまいです。実力だけでなく、良いパフォーマンスを発揮することが上手なチームです。日本人は真面目なので、オリンピックという大きな舞台で活躍したい、という気持ちが強いので緊張してしまうことがあります。

Q 4人で作戦会議などは行うのですか。
A
 事前情報として口頭レベルで確認します。他の選手から対戦相手の特徴を聞いて、こういう戦い方をしたらいいのではないかというニュアンスです。最近はデータ分析もありますので、傾向と対策を考えたりしています。あとは、コーチのアドバイスを聞いたりしています。ただ、試合中はアドバイスを聞く時間がなくて、自分で考えないといけないことも多く、コントロールすることが難しいです。

Q メダルの色は考えずに戦おうということでしたが。
A
 メダル確定と言っても、メダルが手元にあるわけではなかったですし、実感がない状況でした。普通は金メダルが欲しいと考えますが確実ではないので、残り一試合を自分のパフォーマンスを発揮して勝ちたいと思いました。

Q 東京オリンピックで金メダルを獲得した時はどんな気持ちでしたか。
A
 自国開催のオリンピックに出たいと思いながら続けてきました。最後の公式戦と決めていたので、オリンピックの舞台で一回も負けることなく、自分たちのやってきたことが間違っていなかったと証明できた、ということを最初に思いました。満足感がありました。無観客でしたが、スタッフやボランティアの方もいたので、みんなが盛り上がっていました。表彰式の時に、メダルや大会のエンブレムを見て、これがオリンピックだと実感しました。

Q フェンシング以外に東京オリンピック・パラリンピック全体を通して印象に残っている場面・競技はありますか。
A 
前回のリオオリンピックの時はパラリンピック選手に知り合いがいたので見ていましたが、あまり盛り上がらなかった印象です。今回はオリンピックとパラリンピックを一体で盛り上げていこうという取り組みがあり、ライブ配信も多かったと思います。ボッチャは観ていました。なぜそのコースに投げるのかなど、見ていて楽しかったです。あとは、いろんな競技を見られることがオリンピック・パラリンピックの魅力だと思います。世界で一番を決める大会を4年に一回開催することで、いろんな競技に触れる良い機会だなと思います。

写真:宇山賢様4

写真:宇山賢様5

フェンシングについて

Q フェンシングを始めたきっかけは何ですか。何歳から始めましたか。
A 
13歳、中学1年生から始めました。2歳上の兄がフェンシングをやっていて、同じ中学校に入学した時に、部員が少なかったことが理由で勧誘されました。当時は、まだまだ認知度が低かったです。高校2年生の時に、太田雄貴さん(前日本フェンシング協会会長)が2008年の北京オリンピックでメダルを獲得したことで認知度が上がりました。ただ、「フェンシング」という競技は知ってもらえましたが、細かいルールなどを分かってもらうことは難しいと感じました。

Q フェンシングを続けてきたということは、好きであることやモチベーションになることがあったのでしょうか。
A
 オリンピックに行ってほしいという周りの声、勝った時に自分自身が嬉しいことや周りの応援してくれる人も喜んでくれることがいいなと思いました。仕事をしながらフェンシングの素晴らしさを伝えることで、喜んでくださる方が増えるといいかなと思っていました。ただ、セカンドキャリアとどう向き合うかという葛藤はありました。

Q 昔から身長は高かったですか。
A
 昔から高かったです。中学生の時が一番伸びました。中学3年生で186cmぐらいありました。

Q 体型を維持するために心掛けていることはありますか。
A
 もともとはふっくらしていました。インドア派で音楽を聴いたり、絵を描くことが好きでした。フェンシングを始めてからは、部活に行く前に10km走ったりしていました。

Q 引退してからもフェンシングをやっているのですか。
A 
今は剣を握らず、パソコンと向き合っています(笑)パソコンと名刺に触れることが多いです。

Q フェンシングをやる機会がなくなると、ストレスが溜まったりしませんか。
A
 楽器が趣味なので、時間が許す限りはやっていこうと思います。ギターやドラムをやっています。

Q フェンシングを始める前には何かスポーツはしていましたか。
A 
水泳をやっていました。他には、一時期だけテニスをやっていました。水泳は溺れないようにすること、テニスは運動したほうがいいかなと思い始めました。ピアノ、エレクトーン、学習塾、水泳をやっていて、他にもスポーツがやりたいと思いテニスを始めました。ただ、「テニスの王子様」が始まったことで、クラブの人数が増えて、コーチに指導してもらえる機会が減ってしまい、やめてしまいました(笑)

Q 未練なくフェンシングをやることができたのですね。
A 
水泳やテニスは、クラブ内の検定は受けましたが、競技会に出場することはありませんでした。中学校に入って、吹奏楽部でドラムやパーカッションをやろうとしましたが、兄に誘われてフェンシングを始めることになりました。

Q 練習の中で一番大切にしていたことや意識して取り組んでいたことはありますか。
A 
大学生の時に気づいていたのですが、中高生の時は先生の言うことを真似したり、反復練習をして、勝てば嬉しいという感覚でした。大学でスポーツを続けると自主性に任される部分が多くなり、考えてやる必要があります。相手の考えも受け取らなければならず、会話をしているような感じでした。自分の利益にはならないのにOBの方が練習を教えに来てくれたりしていました。フェンシングはお金がかかるスポーツなので、サポートを考えてくれる人もいるので、その人たちへの感謝は忘れないようにしました。また、勝った時は絶対にどや顔はしないようにしています(笑)スポーツは一人でできることではないので謙虚になろうと意識しています。

Q 競技人生で一番印象に残っている試合はありますか。
A
 2019年3月のワールドカップ大会(アルゼンチン)で初めて団体戦で世界一になり、この優勝はフェンシング界史上初の快挙となりました。4年に一回のオリンピックも出場して、もう一度同じことができればオリンピックで金メダルが取れると感じ、目標までの距離が近づいたと実感することができました。

Q 目標としていた選手はいますか。(フェンシング以外も可)
A
 テレビの取材やコメントで、自分の言葉で思いを伝えることができる人はすごいなと思います。ソフトボールの上野さんや卓球のようにスター選手がどうすれば育つのだろうと考えています。現役選手を続けるだけではなく、その後にどうやって貢献できるかが大事だと思うので、今後活躍する選手に伝えていければと思います。

Q 仕事と競技を両立するために大切にしていたことを教えてください。また、大変だったことは何かありますか。
A
 今までは競技に集中させていただきました。スポーツをやっているから偉いというわけではなく、特別に仕事として認められていて、贅沢なことをさせてもらっていると忘れないようにしていました。他の方のお手伝いをすることや自分の活動をPRすることがメインになっていたのですが、周りの人が多くの業務を遂行していることを見習って、セカンドキャリアを意識しながら競技をすることを考えていました。

写真:宇山賢様6

写真:宇山賢様7

メンタルやルーティーンについて

Q 試合前のルーティーンはありますか。
A
 データ分析として映像を見ています。普段は試合で悪かった部分を見て、改善していくことにつなげています。試合の前日だけは、自分の良かった瞬間を見ています。メダル確定や優勝した瞬間、自分のパフォーマンスを発揮できた瞬間を見ています。それが見終わると、YouTubeで自分の好きなアーティストの動画を見ています。

Q 勝負飯はありますか。
A 
勝負飯はおにぎりです。合宿・試合で年間3分の1ぐらいは海外にいます。フェンシング用具など荷物をたくさん持っていくことができないので、あまり日本食を持っていくことができません。2Lのペットボトルにお米を入れて持っていき、現地でコーチがおにぎりを握ってくれます。

Q うまくいかないことがあった時に、どのように切り替えていますか。
A 
うまくいかなかった時は、その場だけ愚痴を聞いてくれる人に話します。落ち着いたら原因を探っていこうと、自分一人ではなくコーチやチームメイトと考えます。自分が悪くないと考えるのではなく、次に同じことが起こらないようにするためのメンタルを準備します。

Q ストレス発散はどのようにしていますか。
A 
趣味の楽器演奏をして発散していました。対人競技は自分が調子良いと思っていても、相手が2倍調子よければ負けてしまい、結果に繋がらないこともあります。楽器は自分がちゃんと扱えれば音が鳴るようになっているので、楽しいなと感じました。個人競技のアーチェリーや射撃なども興味があります。

北区やプライベートについて

Q 北区は住みやすいですか。
A 
上京して最初に東十条に住んでいて、その後は味の素ナショナルトレーニングセンターに近い十条に住んでいました。十条銀座商店街の下町のような雰囲気が好きです。電車の利便性もいいと思います。

Q 香川県出身なのでうどんは好きですか。
A 
好きです。十条にある「讃岐うどん いわい」にお世話になっています。

Q 区内でよく行く場所やおすすめの場所はありますか。
A 
十条銀座商店街と赤羽駅周辺はよく行きます。他には王子駅にも行きます。街並みは十条が一番好きです。昼は賑わっていて、夜は静かな雰囲気ですがお店の中は賑わっていますよね。

Q 自分を動物に例えると。
A 
キリンです。しし唐など、野菜系の串物が好きなので(笑)

Q 最近熱中していること、マイブームはありますか。
A 
移動時間に音楽を聴いていて、新しいアーティストやジャンルを開拓しています。他には、出身地の香川や母校がある京都に行く機会が増えているので、快適な旅の方法を探しています。

Q 現役の時と引退されてから変化はありましたか。
A 
かなり変化がありました。コロナ禍で海外遠征から帰ってくると隔離期間があるのですが、自分はやらなくていいんだと思った瞬間に気持ちが楽になりました。

今後について

Q これから新しく始めたいこと、やりたいことはありますか。
A 
今の仕事は宣伝や広報をやっています。ショールームを企画して社内外にPRすることを勉強しています。今までは取材されたり、PRされる側だったのですが、これからはPRする側なので、両方を経験することでスポーツ選手の見せ方を違った視点で見えるのかなと考えています。それと並行して、スポーツや自治体を一緒に盛り上げることに貢献できればと思っています。自分一人でできることではないので、いろんな場所で自分を知ってもらい魅力を感じてもらえたら、一緒に何かできればと思います。

Q 今後、フェンシングとはどのように関わっていくのでしょうか。
A 
武井 壮さんに会長が代わって新鮮なことが多く、日本フェンシング協会はメダリストがフットワーク軽く人と会うという機会を大事にしています。指導に関しても、フェンシングクラブを立ち上げて教えるのでは関わることができる人数が限られてしまうので、指導したいけれど環境がない人やフェンシングをもう一度始めたいと思っている人を発掘して、多くの人にフェンシングに触れてもらって、自分も参加しながらオリンピック選手を身近に感じてもらいたいです。

皆様へのメッセージ

Q フェンシングをやっている子ども達にメッセージをお願いします。
A 
今は何も考えずに剣で突くことを純粋に楽しんでください。個人的な感覚ですが中学生ぐらいまでは『勝つことが楽しい、剣で突くことが楽しい』という気持ちを忘れずにフェンシングを楽しんでもらいたいです。

Q 北区民へメッセージをお願いします。
A 
今回は残念ながら無観客での開催でしたが、たくさんの人にご尽力いただいて開催できたこと、テレビで見る機会が身近にあり多くの人に応援していただけたこと、自分たちの力だけでメダルが取れたわけではないと日々感じています。一人でも多くの人に「応援ありがとうございました。」とお伝えできればと思います。

写真:宇山賢様8

大会報告は12月上旬に行っていただきました。

宇山賢選手、ありがとうございました。

※写真撮影時のみマスクを外しています。

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